先日、人民元切り上げについてのブログをご紹介しました。
・【資産運用】人民元切り上げはいつなのか?(2010/04/09)
日本人として今後どのような対応をとるべきか、つまり、日本人の個人投資家が行うことができる人民元投資について、一般的なことをまとめてみたいと思います。
【日本人の個人投資家が行うことができる人民元投資】
日本人の個人投資家が行うことができる人民元投資は、主に次のようなものがあります。
(1)人民元そのものを持つ(現金や預金)
(2)通貨選択型の投資信託を購入する
(3)中国株式や投資信託を購入する
(4)FXを利用する
(1)人民元そのものを持つ(現金や預金)
中国の四大国有銀行の一つである中国銀行(バンク・オブ・チャイナ)の在日支店では、最近になり人民元の預金をすることができるようになりました。
具体的には、本人確認などの手続きをして、人民元の普通預金と定期預金の口座を開設することができます。
<メリット>
・人民元が切り上げられることで、為替差益の可能性がある
・預金金利が、日本円よりも高い(1年物の定期預金で、0.45%程度)
<デメリット>
・両替手数料が高い
1元=13円程度とすると、手数料は片道2円程度。
単純に、両替をするだけで、15%が手数料として取られます。
もし、往復をすれば30%の手数料となりますので、人民元の切り上げが30%以上でないと手数料分だけ損をする。
<従来の人民元預金の方法>
日本国内で人民元の預金をすることができるようになったのは、最近のことです。
従来、人民元の預金をする場合、中国本土に出向いて、現地で銀行口座を開設することが必要でした。
しかし、中国政府の規制があり、個人投資家にはハードルが高いものでした。
例えば、
・中国本土に日本円を持ちこむときは、税関の申告が必要(5000米ドル(50万円程度)までは不要)
・中国本土から日本へ中国元を持ち出すときは、2万元(26万円程度)までの制限
などです。
(2)通貨選択型の投資信託を購入する
最近、投資信託の中でも売れ行きが良い「通貨選択型の投資信託」も、実質的に人民元に投資をすることができます。
<メリット>
・人民元が切り上げられることで、為替差益の可能性がある(投資信託の基準価格の上昇につながる)。
<デメリット>
・販売手数料や信託報酬などの手数料が割高である。
・通貨選択型投資信託の、基準価格下落の可能性
通貨選択型投資信託は、通常、ハイイールド債や新興国の債券に投資されていることが多いです。
ハイイールド債は、投資不適格債券(格付けBB以下のジャンク債)です。
世界的な金融危機があった後の「投資には向いていない債券」ですので、通常時よりもデフォルトリスクが高いのは言うまでもありません。
(3)中国株式や投資信託を購入する
中国株式に直接投資をすることができれば、人民元の切り上げの恩恵を受けられる可能性があります。
しかしながら、人民元建てのA株は、外国人の個人投資家(日本人など)は投資できません。
現実的には、A株を投資対象とした投資信託を、証券会社や銀行から購入することになります。
<デメリット>
・基準価格下落の可能性
輸出関連銘柄が含まれている場合、人民元切り上げは、業績悪化の影響を与えます。
株価下落に影響を与えるとすれば、投資信託の基準価格下落につながります。
(4)FXを利用する
SBI証券では、「人民元:円」の取り扱いがあります。
<デメリット>
・取引単位が10万人民元(約130万円)からと、投資額が少々高額になる。
・人民元切り上げは、対米ドルに対して通貨価値が上がるにすぎず、人民元の切り上げが日本円にどのような影響を与えるのか不透明。
・「人民元:円」の通貨ペアの場合、スワップポイントが「売り」も「買い」もマイナスとなる。
売りの場合、-90円
買いの場合、-80円
のスワップポイントがマイナスとなります。
もし、一年間買いポジションを維持した場合、3万円程度のスワップポイントの支払いとなります。
10万人民元に対して、約2.3%の支払いとなりますので、この一年間で人民元が日本円に対して3%程度切り上がらないと損をします。
【日本人個人投資家が行うべき人民元投資】
一般的には、以上のことが考えられると思います。
つまり、人民元投資を行う際は、慎重に検討することが必要です。
なお、長嶋はお客様から人民元切り上げについてのご相談を受けたときは、上記4つ以外のより良い方法をお話させていただいています。