遺産相続に関係する最高裁の判決がありました。
(読売新聞1/22 ) 遺産相続、相続人なら単独請求でも預金口座記録開示
遺産相続の争いを巡り、複数いる相続人の1人から、遺産の預金先の口座記録を開示するよう求められた場合、金融機関に開示義務があるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が22日、最高裁第1小法廷であった。 涌井紀夫裁判長は「預金者が死亡した場合、預金者の地位は相続人全員に帰属するので、相続人は単独で開示を求められる」との判断を初めて示し、開示を命じた。 金融機関は通常、守秘義務などを理由に、相続人全員の同意がなければ口座の出入金記録を開示しておらず、金融機関の実務に影響を与えそうだ。 判決などによると、東京都に住む原告の男性は2006年、母親の死の直前に預金口座に1500万円以上が振り込まれるなど不自然な出入金があったため、城南信用金庫(東京)に口座記録の開示を求めた。預金通帳や印鑑は別の相続人が管理しており、信金は「相続人同士で争いがあるので一部の相続人の請求には応じられない」と拒否した。 最高裁判決は「相続人への開示であれば、(金融機関の)守秘義務には触れない」とした。1審・東京地裁判決は請求を棄却したが、2審・東京高裁判決は開示を命じていた。
【現在の遺産相続】
預金の口座記録を調べるにあたり、相続人全員の印鑑が必要など、相続人一人では調べることができないことが実情でした。 遺産相続による争いが起こっているとき、現実問題として「相続人全員の印鑑」を揃えるのはほぼ不可能なのは明らかです。 預金口座の情報がないと相続財産が確定できないこともありますので、 ・遺産分けができない ・相続税の申告ができない
など相続人にとって困ることもありました。
【この最高裁の判決の影響】
相続人一人でも、預金の情報を入手することができるようになります。 遺産相続を行うにあたって「相続財産の確定」という作業が必要となりますので、今までよりもスムースに相続財産の調査などができるものと思われます。
【金融機関が情報開示を拒む理由は本当に守秘義務!?】
金融機関が遺産である預金口座の情報を開示しないのは、本当に守秘義務だけなのでしょうか? 遺産相続による争いが起こっているとき、相続人の関係は非常に複雑になります。 そんな状況で一人の相続人に預金口座の情報を開示すると、金融機関も遺産相続による争いに巻き込まれる可能性もあります。 長嶋個人的には、「守秘義務」というよりも「金融機関の自己防衛(遺産相続に巻き込まれない)」という意味合いが強いものと思います。
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