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【相続税法改正】平成23年度税制改正大綱:贈与税

  • 2011/01/11

このほど、平成23年度税制改正大綱が公表されました。
そのうち、贈与税の考え方について、次のように述べられています。

 

 

① 基本的な考え方

贈与税は、相続税と同様、贈与という無償の財産取得に担税力を見出して課税するものであり、相続税の回避を防止するという意味で、相続税を補完する役割を果たしています。

過去累次の相続税・贈与税改正においては、こうした「相続税の回避防止」の観点から、相続税に比べ贈与税の税率構造は相対的に厳しいものとされてきました。

加えて、近年、被相続人のみならず相続人自身の高齢化が進んでいることとも相まって、若年世代への資産移転が進みにくい状況となっています。
贈与税の見直しを通じ、高齢者層が保有する資産をより早期に現役世代に移転させ、その有効活用を通じて経済社会の活性化を図ることが必要です。

一方で、見直しに当たっては、資産格差が世代を超えて固定化してしまうとの懸念にも配慮する必要があります。

 

 

② 改革の取組み

相続税について、課税ベースの拡大・税率構造の見直しを図れば、死亡時点まで資産を保有することに伴う税負担が高まるため、そのこと自体によっても生前贈与を促す効果があります。

こうした相続税の負担の適正化と併せて贈与税を緩和すれば、そうした生前贈与はより一層促進されることになります。
こうした観点から、子や孫などが受贈者となる場合の贈与税の税率構造の緩和、受贈者に孫を加えるなど相続時精算課税制度の対象範囲の拡大を行い、高齢者の保有資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大や経済活性化を図ります。

 

 

③贈与税の見直し

(1)相続時精算課税制度の対象とならない贈与財産に係る贈与税の税率構造について、次の見直しを行います。

イ 20 歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造

 現行  改正案
 200 万円以下の金額 10%  同左
 300 万円 〃 15%  400 万円以下の金額 15%
 400 万円 〃 20%  600 万円 〃 20%
 600 万円 〃 30%  1000 万円 〃 30%
 1000 万円 〃 40%  1,500 万円 〃 40%
 –  3000 万円 〃 45%
 1000 万円超の金額 50%  4500 万円 〃 50%
 –  4500 万円超の金額 55%

 

ロ 上記イ以外の贈与財産に係る贈与税の税率構造

 現行  改正案
 200 万円以下の金額 10%  同左
 300 万円 〃 15% 同左
 400 万円 〃 20%  同左
 600 万円 〃 30%  同左
 1000 万円 〃 40%  同左
 –  1500 万円以下の金額 45%
 1000 万円超の金額 50%  3000 万円 〃 50%
 –  3000 万円超の金額 55%

 

 

(2) 相続時精算課税制度の適用要件について、次の見直しを行います。

受贈者の範囲に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人のみ)を追加します。
贈与者の年齢要件を60 歳以上(現行 65 歳以上)に引き下げます。

 

(注)上記(1)及び(2)の改正は、原則として平成23 年1月1日以後の贈与により取得する財産に係る贈与税について適用します。

 


 

【経済活性のため、贈与税の考え方を転換】

相続税という税が創設されると同時に贈与税という税も創設されましたが、贈与税の創設の根拠は「相続税の回避を防止する」ことでありました。
この平成23年度の税制改正において、贈与税の考え方を根本的に転換することが明記されています。

「相続税の負担を重くし、贈与税の負担を軽くすることで、生前贈与を促進させ経済活性化につなげる」

政府の方針として「生前贈与をしてほしい」という意思表示となっています。

 

 

【孫への生前贈与は相続税が20%増になるのでご注意】 

相続時精算課税を利用して孫への生前贈与が可能とはなりましたが、相続時に孫の相続税が20%増しになりますので注意が必要です。
相続税法には、次のような規定があります。

相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者であるときは、その者に係る相続税額は、その者の相続税額に100分の20に相当する金額を加算します。

このようなことから、
・相続時精算課税を利用した生前贈与
・相続時精算課税を利用しない生前贈与
のどちらが有利であるかの検討が必要かと思われます。

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