平成23年度の税制改正にて、相続税の基礎控除(非課税枠)の縮小の議論が進められていますが、具体的な改正案が示されました。
(日本経済新聞11/26) 給与所得控除、年収1200万~1800万円の3上限案
政府税制調査会は25日、所得税や相続税など個人課税の見直し案を示し、制度改正の本格検討に入った。
相続税も基礎控除の引き下げを検討。 現行制度では法定相続人1人あたり1000万円に5000万円を加えた金額を控除しているが、 政府税調は、 (1)1人あたり700万円に3500万円を加えた額 (2)1人あたり600万円に3000万円を加えた額 ――の2案を示した。
基礎控除を圧縮し、相続税収の増加につなげる狙いだ。
【相続税の基礎控除の縮小により、相続税の増税】
政府税制調査会が示した案で税制改正が行われた場合、次のように相続税の課税対象が広がります。
(例)法定相続人が妻・子供2人のケース <現行の相続税法における相続税の基礎控除(非課税枠)>
5000万円+1000万円×3人=8000万円
8000万円の財産をお持ちであれば、相続税が課税されます。
<改正案(1)1人あたり700万円に3500万円を加えた額> 3500万円+700万円×3人=5600万円
5600万円の財産をお持ちであれば、相続税が課税されます。
<改正案(2)1人あたり600万円に3000万円を加えた額> 3000万円+600万円×3人=4800万円
4800万円の財産をお持ちであれば、相続税が課税されます。
【相続税は誰でも払う税金になる時代へ】
平成23年度の税制改正で示された相続税の増税案。 概ね5000万円前後の財産をお持ちの方であれば、相続税が課税されることになります。
5000万円の財産と言えば、 ・ご自宅 ・退職金 ・老後の生活のために積み立ててきた貯金 をお持ちの方であれば、多くの方に相続税が課税される可能性があります。
今後、「相続税は誰でも払う可能性がある税金である」と認識した方が良さそうです。
【相続を専門とした実務家の意見】
現行の相続税法では、相続税を支払う方は死亡された方のうち、100人に4人程度です。 政府の目標は、この4人を5人以上に引き上げることです。
先日、税理士や司法書士など相続を専門とした実務家が集まった際に、相続税の増税について意見交換を行いました。 概ね、次のような意見で一致しました。 (1)基礎控除の5000万円を3000万円台に引き下げるだけでも相当大きな影響があり、これだけでも5人以上になることは確実であること。 (2)法定相続人一人当たりの非課税枠を引き下げる影響まで含めると、6人~8人程度の方が相続税を払うことが予想される。
相続の現場に身を置く者として、政府が考えている以上に相続税を支払う方が多くなると考えます。
【参考ブログ】
・【相続税法改正】相続税基礎控除(非課税枠)は3000万円台に(2010/11/14) ・【相続税法改正】孫への贈与税を優遇、しかし相続税は増税へ(2010/10/25)
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