年金払い方式の保険商品に対する相続税と所得税の二重課税の問題について、過去10年分の所得税が戻されることになりそうです。
(日本経済新聞10/1) 年金型保険の二重課税、2000年以降分を還付
野田佳彦財務相は1日の閣議後の記者会見で、年金払い方式の保険商品に対する相続税と所得税の二重課税問題を巡って、徴収しすぎた所得税を還付する範囲を過去10年分とする方針を正式発表した。 現行制度では還付の時効を5年と定めているが、2000年に納税した分までさかのぼって還付する。
今月下旬からまず05年以降の納税分の還付手続きを開始。 対象件数は6万~9万件で、総額60億~90億円に達する見込み。 一方、04年以前分の還付は法改正が必要になるため、来春以降になる見通しだ。
対象となるのは、生命保険会社、旧簡易保険、損害保険会社、共済などで取り扱っている年金払い方式の保険商品。 (1)年金形式で受給している死亡保険金 (2)学資保険の保険契約者の死亡に伴い受給する養育年金 (3)個人年金保険契約に基づく年金がある。
05年以降分の所得税の還付は、今月下旬から始める。 対象となる可能性のある契約者には保険会社などから通知するとともに、国税庁も電話相談や税務署窓口での相談を開始。 同庁のホームページでも、還付の対象になるかどうかを簡単に判定できるコーナーを設けて対応する。
04年以前に納めた所得税の還付については、具体的な還付方法などについて政府税制調査会で検討。 来年の通常国会へ必要な法改正案を提出する。 法案の成立後、すみやかに還付を開始する方針だ。
【時効は5年ですが、10年前まで遡ることに】
現在の法律での時効は5年ですが、10年前まで遡る方向で調整がされています。 10年遡るためには、法改正が必要となりますので、来年の国会に改正法案が提出されるようです。 実際に還付されるのは、改正法案が成立後の来春以降になると思われます。
【なぜ、10年前まで遡ることになったのか?】
民法上、不当利得の返還請求の時効が10年となっています。
不当利得とは、「法律では定められていないのに、利益を受けている状態」のことを言います。 この相続税と所得税の二重課税の問題では、「法律上、納税者が所得税を払う必要はなかったが、所得税を払っている状態」のことを言います。 つまり、国は「徴収するべきではない所得税を徴収してしまっている」という状態です。
国は、徴収すべきではない所得税を納税者に返還しなければなりません。 その意味で、民法に定める「不当利得の返還請求」を参考にして、10年前まで遡って所得税を返還することにしたようです。
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