
先日、相続税の申告についてご相談があったお客様にお会いしてきました。
平成24年にお父様が亡くなられ、相続税の申告期限は平成25年とのことでした。
最近になり、税務署から次の2つの書類が送られてきたそうです。
(1)相続についてのお尋ね
(2)相続税の申告書
この書類についてどう対応すればよいのか悩んでいたところ、税理士長嶋のホームページをご覧になりご連絡をいただきました。
【相続についてのお尋ね・相続税の申告書が届いた理由】
「相続についてのお尋ね」や「相続税の申告書」は、通常、相続税の申告期限の2ヶ月から3ヶ月前に送られてきます。
なぜ、相続税の申告期限が過ぎた今頃になって届いたのでしょうか。
結論から申し上げると、お客様は申告期限までに相続税の申告書を提出していませんでした。
お客様自身、お父様が相続税がかかるほど財産を持っているとは思ってもいなかったため、お父様の財産にどのようなものがあるのか、調べるようなことはしなかったそうです。
また、税務署から相続税の申告書が送られてこなかったこともあり、なおさら相続税はかからないと思ったそうです。
税務署としては、相続税の申告書が提出される可能性があるのに、申告書が提出されていなかったため、確認のために「相続についてのお尋ね」や「相続税の申告書」を送付したものと考えられます。
【相続についてのお尋ねが送付されるのは行政サービスの一環】
「相続についてのお尋ね」や「相続税の申告書」は、相続税がかかる方全員に送付されるわけではありません。
あくまでも、税務署側で把握しているデータを基に、相続税がかかりそうな方に税務行政のサービスとして送付しているにすぎません。
相続税は、相続人自身が税額を計算し、税金を納める「申告納税」という方式をとっています。
そのため、相続税がかかるかどうかは相続人自身が判断しなければなりませんので注意が必要です。
「相続についてのお尋ね」については「相続税の税務調査が行われるまでの流れ」において詳しくご紹介しておりますので、参考にしていただければと思います。
【相続税を申告期限までに払わなかった場合には罰金がかかる】
お客様の場合、相続税の申告期限までに相続税の申告書を提出せず、相続税の支払いもされていません。
そのため、次のような罰金がかかります。
(1)無申告加算税
(2)延滞税
(1)無申告加算税
特別な理由もなく、申告期限までに相続税の申告書を提出しなかった場合の罰金です。
相続税の申告期限後に、税務調査の前に自主的に申告した場合は、元々の相続税額に対して5%が罰金となります。
例えば、相続税の申告期限までに支払うべき相続税が1000万円であるとき、この5%の50万円が無申告加算税として追加され、合計1050万円を支払うことになります。
(2)延滞税
相続税の申告期限までに、相続税を払わない場合に、申告期限の翌日から実際に相続税を支払うまでの日数に対応する利息のような意味合いが強い罰金です。
・申告期限から2ヶ月までの期間
原則として年「7.3%」の利率とされています。
ただし、次の期間については、次に掲げる利率とされます。
平成22年1月1日から平成25年12月31日までの期間は、年4.3%
平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年2.9%
・申告期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後
原則として年「14.6%」とされています。
ただし、平成26年1月1日から平成26年12月31日までの期間は、年9.2%とされます。