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【所得税増税】所得税の最高税率引き上げを検討へ

  • 2010/02/20

所得税の最高税率の引き上げが検討されるようです。

 

(産経新聞2/19)
所得税の最高税率引き上げ検討 菅財務相が表明

 

菅直人副総理・財務相は19日の衆院財務金融委員会で、現在40%の所得税の最高税率について、「この10年間で最高税率が下がってきた。その見直しも含めて政府の税制調査会で検討したい」と述べ、高所得者への課税を強化するため、引き上げを検討する方針を示した。
所得税の最高税率引き上げをめぐっては、鳩山由紀夫首相も共産党の志位和夫委員長との会談で検討する考えを表明している。
菅財務相はこの日の同委員会で、「現在の所得税では(所得の)再配分機能が低下している」と指摘した。
所得税の最高税率は昭和61年には70%だったが、段階的に引き下げられて現在は40%となっている。
政府税調は来週中にも有識者で中長期の税制のあり方を議論する「専門家委員会」の初会合を開く予定。
菅財務相は同日の閣議後会見で、「所得税も見直しが必要な部分があれば、専門家委員会で意見を出していただきたい」と述べた。

 


 

平成22年度税制改正大綱では、所得税について、次のような現状と課題を提起しています。

 

(1)現状と課題
所得税については、累次の改正により、税率の引下げ・その適用範囲(ブラケット幅)の拡大が行われるとともに、各種控除の累次にわたる拡充によって課税最低限の引上げが行われてきており、所得再分配機能や財源調達機能が低下している状況にあります。
現在の所得税は累進構造をとっていますが、実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降しており、累進性を喪失している状態と言えます。
その原因としては、第一に、所得控除が相対的に高所得者に有利なこと、第二に、分離課税している金融所得などに軽課していることなどが挙げられます。

格差が拡大する中、所得税には所得再分配機能の発揮が求められています。
特に、中間層が低所得層へと落ちていく下への格差拡大を食い止めることは喫緊の課題です。
累進構造を回復させる改革を行って所得再分配機能を取り戻す必要があります。

 

(2)改革の方向性
所得再分配機能を回復し、所得税の正常化に向け、税率構造の改革のほか、以下のような改革を推進します。(以下省略)

 

 

【所得税の実効税率】
平成22年度税制改正大綱で述べられている「実効税率はなだらかに上昇し、一定所得以上は下降」とは、平成19年の所得税の実効税率は、所得金額が5000万円から1億円の層が26.5%とピークを迎えその後、
・所得金額が1億円から2億円の層=25.2%
・所得金額が2億円から3億円の層=23.5%
のように、下降していくことを指しています。

 

 

【平成22年度税制改正大綱の問題提起】
平成22年度税制改正大綱が問題提起をしているのは、次の2つです。
(1)所得控除が高所得者に有利である
(2)株式の配当や売却益の税率が低いこと

 

(1)所得控除が高所得者に有利である
所得控除が高所得者に有利であることは、間違いありません。

 

(2)株式の配当や売却益の税率が低いこと
バブル崩壊後、日本経済を支えるという趣旨で税率を低くしている経緯からすると、累進性を喪失していることはやむを得ないかと考えます。

 

 

 【近年の所得税の税制改正】
近年の所得税の税制改正は、次のようなものがあります。
(1)配偶者特別控除の部分的廃止(平成16年以降)
配偶者控除との二重控除を廃止
(2)老年者控除の廃止(平成17年以降)
50万円の所得控除の廃止
(3)公的年金等控除の縮小(平成17年以降)
65歳以上の最低保障額を20万円縮小
(4)定率減税の廃止(平成19年以降)
所得税を20%減税する措置を廃止

平成22年度税制改正大綱は、「所得控除が高所得者に有利である」ことを問題視していますが、所得控除は近年ではむしろ「縮小」されています。

 

 

【証券税制の改正も見込まれています】
上場株式の配当や売却益の税率を平成24年以降、20%に戻す予定です。
平成22年度税制改正大綱は、「株式の配当や売却益の税率が低いこと」を問題視していますが、既に税制改正で手当て済みではないかと考えます。

 

 

【平成19年のデータだけを取り出して議論するのはあまりにも乱暴】
平成22年度税制改正大綱では、平成19年のデータを基に問題提起をしています。
・近年、各種控除はむしろ縮小されている
・証券税制について、既に改正が予定されている
ことから、平成19年のデータだけを取り出して議論するのはあまりにも乱暴だと個人的に考えます。

もし、「この10年間で最高税率が下がってきた」ことを問題視するのであれば、単年度の実効税率だけでなく、
・この10年間の各年度の実効税率
・この10年間の収入に対する所得税の負担率
など他のデータも検討すべきだと考えます。

また、所得税だけでなく住民税も併せた議論が必要かと考えます。

 

いずれにしましても、今後の動きに注目をしていきたいと思います。

 

 

【相続税対策参考ブログ】
・高額所得者のための所得税の節税

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