政府税制調査会は、平成22年度税制改正に向けて、審議を進めています。 その中で、相続税・贈与税・所得税といった個人に関する税金の改正要望について、取り上げてみます。
【相続税の改正に関する論点は3つ】
相続税の改正に関する論点は、次の3つです。
(1)バブル期の地価急騰に伴い引き上げられてきた基礎控除の水準は、近年の地価下落にもかかわらず維持されているが、どのような水準が適当と考えるか。 (2)税率構造については、昭和63年以降累次にわたり、最高税率の引下げを含む累進構造の緩和が行われているが、格差が固定化しない社会の構築等の観点から、そのあり方をどのように 考えるか。 (3)相続税の補完税という性格を踏まえつつ、相続税とあわせてどのような贈与税のあり方を検討すべきか。
簡単にまとめますと、 (1)相続税の非課税枠の引き下げ(増税) (2)相続税の税率の引き上げ(増税) (3)相続税を改正するのであれば、贈与税も同時に改正
を検討しています。
【小規模宅地の評価減も見直しの対象に】
各府省から提出された税制改正の要望案にはないが、財務省・総務省は、税制改正要望にない項目として、次のようなものを挙げています。 (1)小規模宅地の評価減の見直し (2)定期金に関する権利の評価の見直し (3)障害者控除の見直し
これらは、増税だけでなく、減税の方向の改正も含まれています。
【相続税の改正は、なぜ増税の方向に進んでいるのか】
相続税の改正が、増税の方向に進んでいる理由。 それは、「バブル期」から現在までの相続税に関するデータを基にしています。 特に、 ・相続税を払っている人の数 ・相続税の負担割合 は、バブル期以前よりも、低くなっています。
(1)相続税を払っている人が減少している 相続税を払っている人の割合が、バブル期以後、減少しています。
相続税を払っている人の割合=相続税申告書の提出者数÷年間の死亡者数
昭和58年=5.3% 平成19年=4.2%
(2)相続した財産に比べて、相続税の負担が軽くなっている 相続税を払ったとしても、相続した財産に比べて、相続税の負担が軽くなっています。
相続税の負担割合=相続税を払った額÷相続した財産の額
昭和58年=14.3% 平成19年=11.9%
(3)相続税の税収が減収となっている バブル期以後、相続税の税収が少なくなっています。
平成5年=2兆9377億円 平成19年=1兆5220億円
【元に戻すのは増税ではない!?】
現在の相続税法は、バブル期に相続税の負担が大きくならないようにと、 ・相続税の非課税枠の拡大(減税) ・相続税の税率の引き下げ(減税) などが行われてきました。
「バブル期が終わったので、それを元に戻すだけなので、増税ではない」という言葉が、いずれどこかで聞かれるような気がします・・・
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