先日、相続税の申告書の作成のため、相続財産である不動産(土地と建物)の現場を見に行きました。
その土地は、大阪府にありましたが、相続税の申告書の作成の依頼をされていなければ訪れることはない場所だろうと思います。
知らない場所に訪れる機会をくださったお客様に対して、感謝の気持ちでいっぱいです。
【ひと足早くキンモクセイの香りを楽しみました】
大阪府の山に囲まれた閑静な住宅街に、その土地と建物がありました。
訪れた時期が9月末から10月上旬にかけてでしたので、平地よりも一足早くキンモクセイの甘い香りを楽しむことができました。
相続税の申告書の作成というキッカケではありますが、こうした季節をひと足早く感じられるのはとても幸せなことだと思います。
【土地の相続税評価を落とす余地はほとんどありませんでした】
実際に土地と建物を見ますと、区画整理がされた住宅街でした。
比較的新しい時期に造成された住宅街なのだと理解できました。
区画整理が行われますと、土地の形は正方形や長方形などキレイな形になることが多いです。
そのため、土地の相続税評価を落とす余地はほとんどありませんでした。
しかしながら、土地のすべてが正方形や長方形などキレイな形というわけではありません。
以前お手伝いさせていただいたお客様でこのようなケースもありました。
【土地の相続税評価を落とすとは?】
土地の相続税評価額は単純に、「路線価×土地の面積」で計算することができます。
この計算式は、土地が正方形や長方形など、キレイな形をしているという前提です。
もちろんのこと、土地のすべてが正方形や長方形ではなく、三角形の土地もあります。
例えば、三角形の土地ですと、正方形や長方形よりも使い勝手が悪いので、市場価値は低くなります。
市場価値が低いということは、土地の相続税評価額が下がります。
土地の相続税評価額が下がるということは、相続税も少なくなります。
【土地の相続税評価が低い=市場価値が低い】
相続税の節税のために、賃貸マンションを建設したり購入したりすることが頻繁に行われています。
賃貸マンションの土地は、通常2割引程度で評価されます。
上記の「土地の相続税評価を落とすとは?」から考えますと、
「相続税評価が下がる=使い勝手が悪い=市場価値が低い」
という意味になります。
【賃貸マンションの土地は、どうして2割引で評価されるのか?】
土地の相続税評価は、土地の上に何もない(更地)であることを前提としています。
賃貸マンションの土地の上には、マンション(建物)が建っています。
また、マンションには入居者がおられます。
つまり、賃貸マンションの土地を更地にするには、
・マンションを取り壊す必要がある
・マンションの入居者に立ち退いていただく
などの手間暇がかかります。
したがいまして、「簡単に売ることができない(市場価値が低い)ので相続税評価が下がる」という理屈です。
【賃貸マンションの建設や購入で相続税の節税はできますが・・・】
相続税の節税のために、賃貸マンションを建設したり購入することは、確かに相続税を減らす効果はあります。
しかしながら、「市場価値が下がっている」という事実が無視されがちです。
もし、相続税を節税できた金額以上に、土地の市場価値が下がったとすれば、それは本当に良い方法なのでしょうか?
むしろ損をしている可能性はないのでしょうか?
相続税を節税するために、賃貸マンションを建設したり購入するときは、
・相続税をどれくらい減らすことができるのか?
・土地の市場価値はどれだけ下がるのか?
を比較して検討する必要があると個人的に思います。