先日、相続税対策についてご相談があったお客様にお会いしてきました。
お父様が賃貸不動産を複数お持ちだということで、相続税対策を検討したいとのことでした。
相続税対策の中でも、生前贈与を特に検討したいというご相談でした。
【賃貸不動産を子供に生前贈与することを検討】
賃貸不動産についての状況、そしてお客様のお考えは次のようなものでした。
・賃貸不動産は10年前に中古物件を1億5000万円程度で購入した
・賃貸不動産の築年数は20年を過ぎ、大規模な修繕がそろそろ必要となる
・大規模修繕の費用対効果を考えると、数年以内に手放すのが得策である(今は手放すタイミングではない)
・近年、父の判断能力が低下してきているので、元気なうちに長男である私に名義を変えておいたほうが良いと考えている
・名義を変えるには贈与、あるいは売却をする必要がある
・手始めに、生前贈与について検討したい
・生前贈与を行った場合に、贈与税がどれくらいかかるのか気になる
お客様のお考えを整理すると、この賃貸不動産については相続税対策(相続税の節税)を中心に考えるという意味合いは薄いようです。
お客様が望まれる金額で賃貸不動産を売却できれば、現金が手許に入ってきます。
その結果、相続税を支払うための現金を確保することにつながります。
相続税は現金で一括払いをすることが原則ですので、相続税を払うための現金を確保することは重要な要素の一つとなります。
賃貸不動産について、不動産投資の効率性から現金化し、その後の相続税対策(相続税の節税、相続税納税資金の確保)につなげていくステップの一つとして、この賃貸不動産の売却を考えておられました。
そのためには、お父様の判断能力という問題を事前に解決しておく必要がありました。
【贈与税の計算の基準となるのは相続税評価額】
まず、お客様が検討されたいとおっしゃっていた贈与税について簡単にご説明しました。
贈与税を計算する基準となるのは、贈与する財産の相続税評価額を計算する必要があります。
まずは、賃貸不動産である土地・建物の相続税評価額を計算することから始ります。
10年前に賃貸不動産を1億5000万円で購入されていますが、この購入価額は関係ありません。
土地・建物の相続税評価額が計算できましたら、そこから贈与税の基礎控除である110万円を控除し、控除した残額に対して贈与税の税率をかけることで贈与税が計算されます。
お客様の場合、数年以内に賃貸不動産を第三者に売却することが前提ですので、相続時精算課税制度を利用する意味はあまりないかと思います。
【生前贈与を検討するには、相続税・贈与税・所得税の比較検討が必要】
生前贈与を検討するにあたり、お客様が気にされていたのは贈与税がどれくらいかかるのか?ということでした。
お父様に相続があったときには、相続税が必ず課税されてしまいます。
そのため、相続税と贈与税を比較検討し、有利な方法を選択することが必要でしょう。
あるいは、賃貸不動産を贈与するのではなく売却を選択する場合には、所得税との比較検討も必要になるでしょう。
【贈与税だけではなく登録免許税・不動産取得税にも注意が必要】
贈与であれ売却であれ、不動産の名義を変更しますと登録免許税・不動産取得税の負担が必要です。
登記手続きを司法書士さんにお願いするのであれば、司法書士さんへの手数料も必要です。
登録免許税・不動産取得税は固定資産税評価額を基準に計算されます。
贈与税だけではなく、これらの諸費用(コスト)も考慮する必要があるでしょう。
【相続税対策参考ブログ】