先日、次のような遺産相続に関するご相談がありましたのでご紹介します。
なお、家族構成などその他の内容について、実際のものに修正を加えています。
【家族構成(相続人)】
ご相談者Aさん、長男、妹
【ご相談内容】
先日、母が亡くなりました。
先祖代々、農家の家系ですので、相続財産のほとんどが田や畑などの農地です。
また、農地の一部を潰して、賃貸マンションの経営もしています。
このように、相続財産に預貯金などがほとんどなく不動産ばかりの場合、どのように遺産相続をすればよいのでしょうか?
遺産相続をしようとも、不動産ばかりで分けるに分けられず、困っています。
【遺産相続の方法は基本的に3つ】
相続財産が土地などの不動産ばかりのときは、相続人の間で分けるにも分けられないことが多いです。
現金や預貯金ですと、相続人3人で単純に1/3ずつすれば良いのですが、不動産はそうもいきません。
このようなとき、遺産相続の仕方としては、基本的に次の3つの方法が考えられます。
(1)相続財産である土地を、相続人の間で「共有」にする。
(2)相続財産である土地を売却し、その売却したお金を、相続人で分ける。
(3)相続財産である土地を特定の相続人が相続して、土地を相続しなかった相続人に、代わりの財産を渡す。
【それぞれの遺産相続の方法の問題点】
遺産相続の方法は基本的に3つありますが、それぞれの問題点があります。
この問題点をご理解いただいた上で、遺産分割の手続きを検討されることをお勧めします。
(1)相続財産である土地を、相続人の間で「共有」にする。
現在起こっているお母様の遺産相続の問題点(遺産分けができない)を先送りにしているだけです。
ご相談者Aさんの世代の遺産相続のときに、また同じ問題で、ご相談者Aさんの子供さんが困ることになります。
お母様のときの相続人は3人ですが、ご兄弟それぞれに子供がいますと、その子供たちが相続人になります。
仮に、子供が2人ずついるとすれば、相続人は6人に増えてしまいます。
相続人3人のときはまとまる話が、6人になりますとまとまらないことも十分に考えられます。
(2)相続財産である土地を売却し、その売却したお金を、相続人で分ける。
土地を売却して、その代金を相続人で分けるのが一番簡単だと思います。
ただ、土地を売却しますので、所得税がかかってきます。
所得税を払った後の手取りを相続人で分けますので、所得税の分だけ手取りが少なくなります。
また、土地が希望価格で売れるのか?という問題もあります。
(3)相続財産である土地を特定の相続人が相続して、土地を相続しなかった相続人に、代わりの財産を渡す。
例えば、ご相談者Aさんが土地のすべてを相続すると、他のご兄弟は相続する財産がありません。
このとき、ご相談者Aさんから、他のご兄弟へ財産を渡すことで、遺産相続を終わらせます。
この方法を「代償分割」と言います。
ご相談者Aさんから、他のご兄弟へ財産(例えば現金)を渡すことができるのか?という問題があります。
また、土地を相続するのが他のご兄弟になるときは、ご相談者Aさんは他のご兄弟から財産(例えば現金)をもらう立場になります。
もし、他のご兄弟が約束通り現金などの財産を支払わなかったときには、注意をしなければなりません。
「約束通り現金などの財産をもらっていないから、遺産相続をやり直す」とは後で言えません。
場合によっては、土地などの担保を取る必要が出てくるかもしれません。
【まずは相続人の間での話し合い】
以上のことを踏まえて、まずは相続人で話し合いをされてはいかがでしょうか。
詳しい法律関係は、弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。
もしご入り用でしたら、東京・大阪の弁護士のご紹介もさせていただきます。