先日、次のような遺産相続に関するご相談がありましたのでご紹介します。 なお、家族構成などその他の内容について、実際のものに修正を加えています。
【ご相談内容】
将来的な相続のことについて相談させてください。 私たち夫婦には、子供がおりません。 夫は再婚で、前妻との間に子供一人がおります。
(1)夫が死亡した時の相続では、前妻や前妻の子供にも相続の権利はありますか? (2)相続の権利があるのでしたら、どれくらい相続できる権利があるのでしょうか? (3)夫の財産を私(ご相談者Aさん)一人がすべて相続することは可能でしょうか?
【前妻の子供には相続の権利があります】
前妻の子供には、相続の権利があります。 前妻には、相続の権利はありません。
【相続の権利】
民法に定められている相続の権利は、次の割合です。 ・ご相談者Aさん→1/2 ・前妻の子供さん→1/2
最低限、この割合だけ相続することができます。 前妻の子供さんとの話し合いで、これとは違う割合で相続をしても構いません。
【前妻の子供さんには遺留分の権利があります】
ご相談者Aさんお一人にすべての財産を相続させることは、現実的ではないと思います。 前妻の子供さんには「遺留分の権利」がございます。 最低限、法定相続分の1/2は相続できる権利があります。 仮に、遺言書で「すべての財産をご相談者Aさんに相続させる」と書いたとしても、1/4は前妻の子供さんに相続させなければなりません。
【遺留分の権利を放棄するという方法もありますが・・・】
遺留分の権利を放棄するという方法もあります。 前妻の子供さんが遺留分の権利を放棄すれば、ご相談者Aさんはすべての財産を相続することができます。
遺留分の権利を放棄してもらうには、相続開始前に、家庭裁判所の許可が必要です。 家庭裁判所が許可の判断をするポイントとして、次のようなものがあります。 ・遺留分の放棄が、前妻の子供さんの意思なのかどうか ・遺留分を放棄する理由に、合理性・必要性があるのか ・遺留分を放棄することにより、ご相談者Aさんから前妻の子供さんへ、それ相応の財産が渡されているのか
これらをクリアする必要がありますので、ご相談者Aさんがすべての財産を相続することは難しいと考えられます。
HOME|事務所理念|事務所案内|業務内容|お問い合わせ|サイトマップ|リンク集|ブログ
copyright © 2007 All rights reserved 遺産相続税相談室(兵庫県芦屋市)