(日本経済新聞2/6)
ラップ口座、残高3割減 主要4社の08年末
プロの運用力をうたい文句に拡大してきた「ラップ口座」に逆風が強まっている。主要4社の運用資産残高は昨年9月末から12月末までの3カ月間で約3割減少した。多様な金融商品に投資してリスクを分散する手法を売り物にしていたが、リーマン・ショック以降の金融市場の混乱では、対応しきれなかったようだ。運用成績の悪化を受け、各社は投資家が機動的に運用方針を見直せるよう改善策に乗り出した。
大和証券、日興コーディアル証券、野村証券、新光証券の2008年12月末の運用資産残高は、4650億円と3カ月前に比べ29%減少。大和が昨年9月末比23%減の1748億円、日興が37%減の1432億円、野村が27%減の1054億円、新光が27%減の416億円だった。主要4社の運用資産残高は、全ラップ口座の9割を占める。
【長期運用・分散投資は本当に常識なのか?】
証券会社や信託銀行などで提供されているサービスとして「ラップ口座」があります。
証券会社や信託銀行などでは「長期運用・分散投資が投資の基本です」と、職員の方は呪文のように唱えます。
長期運用・分散投資は本当に常識なのでしょうか?
ラップ口座で投資されるのは、基本的に投資信託です。
株式・債券・国内・海外といくら分散投資をしても、結局のところすべて「紙の資産(ペーパー)」です。
株式市場などの調子が悪くなると、「紙の資産」はいくら分散投資をしてもまったく意味がありません。
【ラップ口座はプロに資産運用を任せているはずですが!?】
ラップ口座は、一定金額(最低金額が1000万円からなどに決められています)の運用を証券会社や信託銀行などのプロと称する方にお任せします。
ラップ口座では通常、投資信託を購入して運用しています。
証券会社や信託銀行といったプロの方がどうしてプロ(投資信託)に運用をお願いするのでしょうか?
【ラップ口座では本当に投資家のために投資をしてくれるのか?】
ラップ口座では「顧客のためにポートフォリオを組んで運用してくれる」ことになっています。
多くの場合、証券会社や信託銀行で決められたパッケージ(ハンバーガーショップでのハンバーガーセットと同じです)の中から選ぶことになります。
本当に投資家のために投資をしてくれているのでしょうか?
【ラップ口座は手数料が割安だと言われているが!?】
ラップ口座での手数料は、資産運用残高の1%~3%の手数料がかかります。
ラップ口座は、結局のところ投資信託に投資されますので、手数料を支払ってまで、投資先を選んでもらう必要があるのか?
しかも、パッケージ商品(あらかじめ投資先は決められている)です。
また、ラップ口座の中での投資信託の売り・買いには、売買手数料がかかりません。
これだけを見ると非常にメリットがあると思いがちです。
確かに、売買手数料はかかりませんが、投資信託を持っている間の「信託報酬」という手数料はかかります。
信託報酬は、1%程度のものから高いものでは2%程度かかるものもあります。
ラップ口座で投資される投資信託は、証券会社や信託銀行の自社系列の運用会社によるものが多く、系列会社が手数料を丸抱えすることになっています。
つまり、ラップ口座では、
・資産運用残高の1%~3%の手数料
・1%~2%程度の信託報酬
の費用がかかります。
手数料だけで、単純に毎年2%~5%程度かかるということになります。
【ラップ口座は投資効率が非常に悪い】
現在の経済状況でも、毎年2%~5%の運用利回りがないと「元本割れ」ということになります。
現在の経済状況で、毎年2%~5%の運用利回りは可能でしょうか?
また、仮に5%~10%という高利回りになったとしても、半分手数料で持っていかれることになります。
ラップ口座での資産運用は、非常に投資効率が悪いと言えます。