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遺産相続税相談室|長嶋佳明税理士事務所
相続専門FPの税理士長嶋佳明が語る『お金』事情

【遺産相続税相談室】税理士は遺産分割協議書を作成できますか?

  • 2009/02/07

先日、次のような遺産相続に関するご相談がありましたのでご紹介します。

 

 

【ご相談内容】

遺産分割協議書の作成について質問させてください。
行政書士登録をしていない税理士が遺産分割協議書を作成することは法律違反であると、長嶋さんのホームページに書かれています。
根拠となる判例等ございましたら教えてください。
弁護士に聞いてみたところ、違反にならないとの見解です。
また、行政書士会は違反になるとの見解です。
誰の言うことが正しいのかわからなくなっています。

 

 

【相続の専門家は誰でどのようなことができるのか?】

相続の専門家として考えられる代表的な職業の方は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士だと思います。
これらの職業の方が、法的にどんなことを仕事とすることができるのかを確認したいと思います。

 

 

【弁護士が法的に行うことができる仕事】

弁護士法において、弁護士が行うことができる仕事は、次のように定められています。

(弁護士の職務)
第三条  弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2  弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。

 

※遺産分割協議書の作成は、一般の法律事務にあたりますので、弁護士は遺産分割協議書を作成することができます。

 

 

【司法書士が法的に行うことができる仕事】

司法書士法において、司法書士が行うことができる仕事は、次のように定められています。

(業務)
第三条  司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一  登記又は供託に関する手続について代理すること。
二  法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること。
三  法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。
四  裁判所若しくは検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若しくは地方法務局に提出し若しくは提供する書類若しくは電磁的記録を作成すること。
五  前各号の事務について相談に応ずること。
六  簡易裁判所における次に掲げる手続について代理すること。以下続く・・・

 

※不動産など、相続財産を相続人の名義に変更するときには、通常「遺産分割協議書の添付」が求められます。
「上記の二」において、「法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録を作成すること」とあります。
遺産分割協議書は、法務局に提出する書類ですので、司法書士は遺産分割協議書を作成することができます。
ただし、相続登記を前提として遺産分割協議書の作成が可能です。
相続登記をしないときは、司法書士は遺産分割協議書を作成することはできません。

 

 

【行政書士が法的に行うことができる仕事】

行政書士法において、行政書士が行うことができる仕事は、次のように定められています。

(業務)
第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

※遺産分割協議書は、官公署(法務局など)に提出する書類です。
行政書士は、遺産分割協議書を作成することができます。

 

 

【税理士が法的に行うことができる仕事】

税理士法において、税理士が行うことができる仕事は、次のように定められています。

(税理士の業務)
第2条 税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
1.税務代理
2.税務書類の作成
3.税務相談

2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。

 

※税理士は、税理士業務(相続税の申告書を作成など)について、財務に関する事務を行うことができます。
ただし、次のような注意事項があります。
「他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。」
つまり、他の法律(弁護士法・司法書士法・行政書士法)で遺産分割協議書を作成することが仕事として認められている専門家(弁護士・司法書士・行政書士)がおられるので、税理士は遺産分割協議書を作成してはいけません。

 

 

【税理士自身も法律違反とは知らないことも!?】

行政書士資格を持たない税理士が、遺産分割協議書の作成をすることは法律違反である。
このことは、税理士自身も知らないことが多いです。
その理由としては、相続税の申告書を作成する税務ソフトにあります。
一つボタンを押せば、遺産分割協議書が印刷できるようになっている相続税の税務申告のソフトもあります。

 

 

【専門家の仕事の範囲がしばしば問題となります】

以前、行政書士会に「司法書士は遺産分割協議書を作成することができるのでしょうか?」と質問したことがあります。
行政書士会の回答は次のようなものでした。

 

「司法書士は、登記申請に関する書類であっても、添付書類(議事録、契約書、遺産分割協議書等)を作成することはできません。登記申請書の作成代理、申請代理ができるだけです。」

 

司法書士法を読む限り、行政書士会の言っているようには長嶋は解釈できませんでした。
それぞれの業界団体の事情もあり、このような回答になったものと思われます。

 

弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの専門家は、それぞれの法律によって仕事としてできる範囲が決められています。
もちろんのこと、その範囲を越えて仕事をしますと「法律違反」となります。
こういった「仕事の範囲」は、しばしば問題となります。
長嶋事務所では、遺産分割協議書の作成に関して、弁護士・司法書士・行政書士に依頼をしています。
こうした問題が起きないよう、クリーン(きれい)な仕事をしております。

 

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