先日、次のような遺産相続に関するご相談がありましたのでご紹介します。 なお、家族構成などその他の内容について、実際のものに修正を加えています。
【家族構成(相続人)】
長男、次男、長女 ご相談者(長男の妻)
【ご相談内容】
10年前と5年前に夫の両親が亡くなりました。 私の夫(長男)、弟(次男)、妹(長女)の間で遺産相続による争いが起こっています。 現在、妹(長女)が亡き父親名義の自宅に住んでいます。妹は遺産分けに同意をしてくれません。 今後どのようにすれば解決できるでしょうか? なお、遺言書はありません。
【一般的には家庭裁判所での調停・審判の手続きへ】
相続人の方々との間での話し合いにより解決できなければ、家庭裁判所での調停・審判へと進んでいくことになります。
【調停は相続人全員の合意を目指します】
家庭裁判所での調停は、相続人全員の合意を目指します。 調停委員は、相続人の意見を聞いて「お互いに譲り合う精神」でまとめようとします。 そこには、民法や相続税法といった法律は原則的に考慮しません。 相続人の方々の「気持ち」を最優先にします。
そのため、家庭裁判所が遺産相続についてすべてを決めてくれると期待してしまいますと、失望することにもなりかねませんのでご注意ください。
相続人の間でどうしてもお互いに譲ることができないと判断されますと「調停不成立」となり、自動的に審判となります。 なお、一般的に調停が成立するのは、およそ半分くらいの件数だと言われています。
【審判では法定相続分で遺産分割】
審判になりますと、基本的には民法に定める法定相続分で遺産分割が決定します。 最終的には、法定相続分で遺産が分割されることから、今後の労力・時間・金銭的な負担を考えますと、審判に持ち込むのが本当に良いのかどうかをご判断いただきたいと思います。
【相続人の方々の中で何が一番納得できる形なのか?】
審判まで持ち込まれますと、心身の疲労、弁護士さんへの報酬や税金などの金銭的な負担がこれから出てきます。 先祖代々の土地を売却することにもなりかねません。 どういう形が相続人の方々にとって一番良い結果なのかをもう一度考えることをお勧めします。
【生前から何らかの対応をしていたら円満な相続になった可能性も】
こういった「遺産分けがまとまらない」というご相談は数多くあります。 こうした遺産分けのお悩みは、残念ながら実際に相続が起こった後のご相談がほとんどです。 遺産の内容によっては、生前から「遺産分けはまとまりそうにない」と予想することができることもあるかと思います。 遺産分けは、生前から何らかの対応をしておかれることをお勧めします。 生前から対応することで、遺産相続による争いが起きずに済むことは数少なくありません。
長嶋事務所では、生前から遺産分けの対応をすることで、遺産相続による争いをできる限り起こさないお手伝いをさせていただきます。
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