先日、友人の税理士から遺産・相続税について次のような相談がありました。
「遺産相続について、お仕事をさせていただいている案件があるのですが、長嶋さんに手伝ってもらいたいのです。」
その友人の税理士からよくお話を聞くと、
・その地域では有名な資産家(土地をたくさんお持ち)で、一人では遺産の調査をするのは難しい。
・遺産が相当高額になりそうなので、他の税理士のチェックが欲しい。
とのことでした。
【お困りの相続人さんのために引き受けました】
友人の税理士ということもあり、引き受けることにしました。
友人である税理士が困っているということは、相続人さんもお困りになります。
友人の税理士のためでもありますが、相続人さんのためにもお手伝いをしたいと思いました。
そして、長嶋に声をかけてくれた友人の税理士にも感謝です。
それは「相続といえば長嶋」と、信頼してくれたことです。
困っている相続人さん、そして友人の税理士のためにも精一杯お仕事をさせていただきます。
【現場を見ると個性がわかります】
その相談を受けた翌々日、友人の税理士と一緒に早速「土地」を見に行きました。
相続人さんに、遺産の概要をご説明する期限が1週間後と迫っていましたので、早急に対応しました。
遺産の中で、特に土地が多く、また高額になりそうですのでまず「現場」を確認しました。
現場の土地に行きますと、相続人さんの性格と申しましょうか、その一族はどのような方なのか、そういった個性のようなものを感じ取ることができます。
・現場の土地はキッチリと手入れがされているかどうか
・現場の土地の状況から、先代さんはどんな趣味をお持ちだったのか
などです。
現場では、相続人さんや先代さんがその場にいなくても、このような心を通じたコミュニケーションを取ることができます。
【他人に貸している土地は遺産ではなく負債?】
現場の土地を見に行くと、他の方に貸している土地(貸地)が多数ありました。
昭和30年代くらいから貸しているものと思われる土地。
おそらく、地代はその当時のまま変更していない(数千円から数万円)と思います。
その土地の上には家屋が建っており、他の方が住んでおられます。
また、ご商売をされている方もいらっしゃいます。
このような場合、土地を売るにも「立退料」(おそらく数千万円になると思われます)を払って出て行ってもらわないと、この土地を売ることができませんし、相続人さんご自身も使うことができません。
さらに毎年支払う固定資産税、地代でこの固定資産税を払えているのか(固定資産税は土地の価値が上昇すると、固定資産税も増えます)どうか・・・
・売るに売れない、相続人さんご自身で使うに使えない土地
・固定資産税も払えているのかわからない地代しか生み出さない土地
・遺産相続のときには、高額の相続税を納めることになる土地
このようなことを考えますと、これらの土地は遺産とは言えず、むしろ負債ではないだろうか?と複雑な気持ちになります。
【相続税を払うことができるのか?】
これほどの土地をお持ちの方ですので、相続税を払うことができるのか?
それが一番の心配事です。
税金は、現金で納めることが原則です。
ただ、相続税については、延納(相続税を分割して納める)や物納(相続税を物で納める)ことが例外的に認められています。
延納や物納をするにも、それなりの準備が必要で、相続が始まってから準備を始めても、相続税の申告期限までに間に合わないことが多いです。
過去に「延納(相続税の分割払いについて、その当時の金利5~8%程度)」により相続税を納めておられます。
延納は「相続税破産」を引き起こす(問題の先送り)だけですので、個人的にはオススメできません。
相続人さんは「先祖代々の土地を守っていく」とおっしゃっていますので、これらの土地を残してあげたいです。
もう少し早くこの相続人さんと出会っていれば、相続税を納めるための対策ができたことを考えると、悔やまれてなりません。