アメリカ議会はタックスヘイブン(租税回避地域)における節税策に歯止めをかけるため、新法案(タックスヘイブン乱用防止法案)を検討しています。 このタックスヘイブンを利用した課税逃れにより1000億ドル(約11兆円)の税収が失われているようです。 税の抜け穴に課税をすれば、財政赤字も縮小し増税をする必要がないというのが主な理由のようです。 今後、日本でもこのような考え方が検討されそうな予感です。 (参考:日本経済新聞8/26)
【課税強化がされる主な国と地域】
・バハマ、バルバドス、ベリーズ、バミューダ、ケイマン諸島、コスタリカ、キプロス、ドミニカ ・香港、ラトビア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、マルタ、パナマ、シンガポール、スイス
など34の国と地域をタックスヘイブンと指定。
【課税強化の対象となった理由】
・営業上の理由がないのに本社が移転されている(郵便物の送付先はアメリカ国内になっている) ・匿名性の高い銀行の口座が活用されている(本当の所有者がわからない)
「匿名性の高い銀行の口座が活用されている」ということについては、7月にスイスの大手金融機関のUBSが規制されています。 詳しくはこちらです。 ↓ 遺産相続税相談室|長嶋佳明税理士事務所|プライベートバンクは資産運用の手段として魅力的です
【課税強化による影響】
・情報開示の拡大や罰則が強化されそうです。 ・シンガポール、スイス、香港などの金融都市がブラックリストに入れられています。 ・米メディアによると、英領バミューダに所得を一部移転しているボーイング社やウォルト・ディズニー社などは向こう10年間で63億ドル(約7500億円)の増税となるようです。
【日本への影響】
「日本の金融はアメリカの10年遅れている」と言われることもあります。 つまり、アメリカの動向を見ていれば今後の日本の方向性が見えてくるということです。 近い将来、日本もこういったタックスヘイブンの課税強化となるかもしれません。
【タックスヘイブンは元々アメリカで誕生したもの!?】
タックスヘイブンは元々アメリカで誕生した説もあるようです。 19世紀末、アメリカの大企業の本社はニューヨーク州とマサチューセッツ州に集中していたようです。 お隣のニュージャージー州は財政難で苦しんでいたそうで、「税金の優遇をすれば企業が移転をして税収が増える」と弁護士が助言したそうです。 アメリカの税金は州によって違いますので、税金の優遇を州ごとに行うことも可能でした。 この流れが、イギリス・スイスなどに広がっていったようです。
つまり、元々アメリカなどの先進国が自国の利益のためにタックスヘイブンを活用し始めたのがルーツのようです。 アメリカ議会のタックスヘイブンの課税強化の検討は、自国の歴史を否定するように思えてなりません。
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