相続税の税額計算の基本的な仕組みについて、日本税理士会連合会と財務省主税局との意見交換 では次の5つが行われています。 (イ)相続税の非課税枠 (ロ)被相続人との血縁関係により、相続税の非課税枠や相続税の税率を定める (ハ)配偶者の相続税の非課税枠 (ニ)生命保険金・退職金の相続税の非課税枠 (ホ)小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度
このうち、「(ホ)小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度」について、今後の方向性を紐解いてみます。
(ホ)小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度
【現在の相続税法】
(1)遺産総額から「相続財産の評価を減額させる」という形式で控除などをすることにより、相続税の負担を軽くしている。
【現在の相続税法の問題点】
(1)相続税の課税方法を見直した場合の小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度をどのように考えるべきか。 ・現在の相続税法では「一族」で相続税の計算をすることになっているが、相続税改正の方向性は「相続財産を取得した各個人ごと」に相続税を計算することになるため、小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度は今のままでよいのか・・・
【相続税改正の方向性】
(1)小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度は、相続税の非課税枠(5000万円+1000万円×法定相続人の数)と同じ考え方でよいのではないか。 ・相続税の非課税枠の考え方と同じ考え方とは、小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地を取得した相続人各個人について、それぞれ取得した小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地の評価額からこれらの優遇制度により減額される金額を差し引くという考え方です。 現在の相続税法では、被相続人が住宅や事業用の土地を相続財産として所有しており、相続人がその土地を相続すれば「一族」の相続税が減ることになっています。 これらの土地を相続していない相続人まで相続税の負担を軽くする必要があるのか?という相続税の負担の不公平感があると思います。
相続税改正の方向性は、これらの土地を相続した相続人のみ相続税の負担を軽くすることになりそうです。 そうしますと、全体的な相続税の底上げ(結果的に増税)となる可能性が非常に高いと思います。
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