相続税の税額計算の基本的な仕組みについて、日本税理士会連合会と財務省主税局との意見交換 は次の5つが行われています。 (イ)相続税の非課税枠 (ロ)被相続人との血縁関係により、相続税の非課税枠や相続税の税率を定める (ハ)配偶者の相続税の非課税枠 (ニ)生命保険金・退職金の相続税の非課税枠 (ホ)小規模宅地(住宅や事業用の土地)や農地に対する相続税の優遇制度
このうち「(ハ)配偶者の相続税の非課税枠」について、今後の方向性を紐解いてみます。
(ハ)配偶者の相続税の非課税枠
【現在の相続税法】
相続税の申告期限までに遺産分割が成立していることなどを条件に、相続税の申告書を提出することにより、 (1)相続税の総額×配偶者の法定相続分(1億6000万円を下限) (2)配偶者が取得した遺産の相続税の課税価格 (3)(1)と(2)のうち小さい額
配偶者の相続税額×(3)/相続税の課税価格=配偶者の相続税の非課税枠
・単純に、配偶者の法定相続分までの相続財産には相続税がかかりません。
【現在の相続税法の問題点】
(1)相続税の課税方式を見直した場合の配偶者の税負担の優遇制度はどうあるべきか。 ・現在の相続税法では「一族」で相続税の計算をすることになっているが、相続税改正の方向性は「相続財産を取得した各個人ごと」に相続税を計算することになるため、配偶者の優遇制度は今のままでよいのか・・・
【相続税改正の方向性】
(1)配偶者に対しては、遺産の分割が成立しているなどの条件をクリアしているときは、相続税の申告をすることにより、配偶者の非課税枠の代わりに、法定相続分までの相続財産の取得について非課税枠を設ける現在の相続税法と同じく配偶者控除の制度を設けてはどうか。 ・現在の相続税法の配偶者の非課税枠をそのまま維持されそうです。
(2)法定相続分までの相続財産の取得について非課税枠を設ける場合には、法定相続分までの相続財産の取得であるかどうかを確認するために、被相続人の相続財産の明細を提出させてはどうか。 ・相続税改正の方向性は「相続財産を取得した各個人ごと」に相続税を計算することになるため、相続税を納める各個人がそれぞれに相続税の申告書を提出してしまうと、被相続人の相続財産の全体像が把握できないため、配偶者の非課税枠の税額計算が正しいかどうかの判断を税務署ができなくなります。
そのため、被相続人の相続財産を把握するため、相続財産の明細を提出することになるかもしれません。
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