最近特に多い資産運用のご相談をご紹介します。
【ご相談内容】
私の父が資産運用として投資信託を持っています。
先日、銀行から「投資信託を売却して、年金型の個人保険に加入しませんか?」と提案されています。
投資信託を売却して、年金型の個人保険に加入したほうが良いのでしょうか?
【銀行の営業トーク】
今、日本だけでなく世界の経済の調子が悪いので、投資信託を売却しましょう。
その売却代金で毎年年金がもらえる保険があるので、そちらの方がオトクです。
【年金型の個人保険とは?】
銀行から提案されたパンフレットを見させていただくと、変額年金保険でした。
パンフレットを見ずとも言葉を聞いただけで「変額年金保険かな?」と想像しましたが、言葉は使いようだなと思いました。
「年金」という言葉をつけると、日本人は安心してしまいます。
変額年金保険とは、簡単に、投資信託に死亡保障と年金をもらえる権利がついている生命保険です。
その年金をもらうための資金は、この変額年金加入時に加入者が全額支払います(一時払い)。
毎年受け取ることができる年金の額は、投資信託の運用の成績に応じて変動します。
年金の額が変わる保険なので「変額年金保険」と言われています。
つまり、この変額年金保険はなんら投資信託と変わらないということです。
この変額年金保険を勧めている銀行の担当者は、顧客に投資信託を売らせて投資信託を買わせているにすぎません。
経済の状況が悪いため、運用成績の悪い投資信託を売りましょう!と提案しているにもかかわらず、
投資信託である変額年金保険に入りましょう!と勧める銀行員。
結局、儲かるのは銀行だけだったりするのです・・・
【コンプライアンス(法令遵守)とは名ばかり!!】
投資信託を売却すれば、売却手数料がかかることが多いです。
変額年金保険を購入するときにも、購入手数料がかかります。
また、一時に支払った資金を投資信託として運用している間にも手数料がかかります。
そして、この変額年金保険を解約したときも手数料がかかることがあります。
さらに、年金を受け取っている間にも手数料はかかります。
変額年金保険のパンフレットに記載されていた手数料は、次のようなものでした。
名称 | 手数料 | |
購入時 | 契約初期費用 | 3.5% |
運用期間中 | 保険契約関係費 | 3% |
資産運用関係費 | 1% | |
解約時 | 解約控除 | 1~4% |
受取時 | 年金管理費 | 1% |
相談者は「このような手数料関係のお話を一切聞いていない」とおっしゃいました。
金融庁に直接訴えてもいいくらいの出来事だと個人的に思っています。
銀行でも「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉は「標語」程度の認識で、何ら顧客のためになっていないのが現状です。
それはどうしてでしょうか?
【結局は銀行員も会社員です】
銀行でこうした個人のお金に関する相談の仕事をされる方は「ファイナンシャルアドバイザー」や「ファイナンシャルコンサルタント」などと名乗っています。
このような方は、銀行に勤務する会社員です。
つまり、固定のお給料をいただいています。
また、この夏の時期は銀行内で「キャンペーン」と称して投資信託や変額年金保険などの販売件数や販売金額のノルマがあります。
このキャンペーンのノルマを達成しないと自身の冬のボーナスが減らされます。
つまり、顧客が投資信託や変額年金保険で儲けるか損するかには興味がなく、これらを売ってしまい自身の給料やボーナスが増えることに興味を持っているのです。
仮に、顧客が損をしてクレームを銀行に持ち込んだとしても、銀行員は2・3年で転勤してしまいます。
この投資信託や変額年金保険を売りつけた担当者は、既に他の支店に転勤してしまっている可能性があります・・・
このように販売ノルマがあるのは、銀行だけでなく郵便局でも同じことです。
したがいまして、「銀行員が言うことだから間違いない」とは思わないでください!
やはり、今の時代、何をするにも「自己責任」のようです。