7/3付の産経新聞 に、税務署職員によるワイロのニュースが流れました。
このニュースの詳細が明らかになったようですので、ご紹介します。
【税務署OB・国税OBに口利きの権力(神通力)があるのは本当か!?】
半分正解、半分不正解だと思います。
このような口利きの権力(神通力)にも賞味期限があります。
また、そもそも神通力をお持ちでない方もいらっしゃいます。
その反面、絶大な神通力をお持ちの方も中にはいらっしゃるようです。
まっとうな仕事をする税理士を選ぶのか?
それとも神通力をお持ちかもしれない税理士を選ぶのか?
それは皆様の判断になります。
【脱税のススメは拒否しましょう!】
完全に違法行為であって、節税ではありません。
このような話を持ちかけること自体怪しいと思ってください。
刑事罰が科されることになった場合、その後の人生にどれほど影響があることか・・・
(7/21:産経新聞)
国税マンがワイロ要求、税金不正の“この世の末”
タバコ値上げ、消費税率上げ…。重税感がずしりと高まっている今、“節税”をエサにした徴税マンの不正ほど腹立たしいものはない。「税金を払わなくていいようにしますよ。その代わり…」。相続税の未納分5000万円を免除する見返りに、不動産賃貸業者から1000万円のワイロを受け取っていた税務署職員。自ら計画を持ちかけては周到に工作し、まんまと大金を懐に入れていた。税をめぐる不公正感が社会の枠組みの破壊につながってきたことは歴史が示す通りだが、現代のモラル崩壊は徴税マンにも及んでいた。逮捕された税務署職員の“悪徳連金術”が物語る“この世の末”とは-。
■手口は巧妙 「痕跡」消し去るも点検で発覚
7月2日朝。
厚木税務署上席国税徴収官の林英一容疑者(45)は出勤するや、懲戒免職の辞令を手渡された。
「申し訳ありませんでした」
事情を察し、こう言って署長に頭を下げた。そのまま身柄は横浜地検へ移され、同日中に加重収賄容疑で逮捕された。
検察が発表した容疑事実はこうだ。
林容疑者は昨年9月中旬~10月上旬、厚木市の不動産賃貸業、八田幸一容疑者(38)=贈賄容疑で逮捕=の相続税の未納分約5000万円について、完納したように装うため署内の端末を不正に操作してデータを0円に減額。さらに、八田容疑者が所有する宅地に、国が相続税を徴収するために設定していた抵当権を抹消する手続きを行い、その見返りとして現金計1000万円を3回に分けて受け取った疑い。
相続税などを一括して納めるのが困難な場合、税務署の許可を受けて分割払いにできる「延納」という制度がある。八田容疑者もこれを利用し、担保とした宅地に抵当権が設定されていた。
林容疑者は、税務署のデータだけでなく登記も改竄(かいざん)することで、八田容疑者の納税義務の痕跡を完全に消し去ったわけだ。
手口は巧妙そのもの。
抵当権抹消手続きでは、「抵当権抹消登記嘱託書」と「抵当権抹消登記原因証明書」の2通について、他の書類に紛れ込ませて署長の公印を押し、決裁を受けたように見せかけて法務局に提出していた。
だが、今年6月中旬になって、林容疑者の上司が事務点検で不審な点に気付いた。
「この土地、決裁した記憶がないのに抵当権が抹消されている…」
報告を受けて東京国税局が内部調査を進め、疑惑が一気に浮かび上がった形だった。
■OBも荷担していた! 犯行持ちかけ借金穴埋め
林容疑者は昭和56年に採用され、東京国税局管内で徴収業務を行った後、平成17年7月に厚木税務署に着任した。関係者によると、「上席国税徴収官」という肩書は経験の長さを裏付けているという。
一方、八田容疑者は12年から延納の許可を受けており、相談で訪れた八田容疑者に対し、林容疑者の方から犯行を持ちかけたとみられている。
林容疑者はあちこちに借金があり、その穴埋めが動機となったようだ。
元国税庁職員で無職の田上健一容疑者(60)=加重収賄で逮捕=からは、100万円ほど借りていた。同容疑者は犯行の一場面で、重要な役割を演じている。
「八田さん、この人は今でも国税方面に顔が利くんですよ」
林容疑者は八田容疑者との面会の際、田上容疑者を同席させて紹介し、話の信憑性を高めようとした。国税の有力OBが自分の「後見人」になっており、相続税の記録は確実に消すことができる。だから信用して“報酬”を払ってほしい-というわけである。
結局、この「ダメ押し」が奏功。八田容疑者にとってみれば、本来の「5000万円」が「1000万円」で済むのなら安いものと考えたのだろう。
田上容疑者もワイロの一部を受け取っていた。30年近く前に退職しており、すでに公務員の立場ではなかったが、検察は「身分なき共犯」にあたると判断し、7月10日になって逮捕に踏み切った。
これまでの調べで、3人は大筋で容疑を認めているという。林、八田両容疑者は22日にも起訴される見通しだ。
■「お役所仕事」の甘いチェック 最後はモラル頼み?
結果的に事務点検で犯行が露見したとはいえ、林容疑者の暴走を許した国税当局のチェック態勢に問題はなかったのだろうか。
当局によると、電算システムは徴収官1人につき1台。納税データの入力前には、証拠書類に基づいて「誰がいくら納めたか」を一覧にした納税者全体のリストが作られる。徴収官はデータ入力後、自分が入力した分について個別に申告するだけで、リストとの突き合わせは徹底されていないという。
つまり、入力ミスや故意により、実際の納税額とデータが一致していないケースもあり得るわけだ。
また、決裁に使われる署長公印は総務課長が厳重に保管し、必要な場合は職員が上司の前で押印するが、その内容についての確認はない。
一連の作業では担当職員の申し出に頼るところが大きく、「お役所仕事」が常態化していたようなのだ。
今回の犯行はそうした甘さに付け込んだのは確実で、国税当局は「何段階かでのチェックが必要だった」と認めている。
「税務行政への信頼を裏切り、深くおわびする。綱紀の厳正保持を徹底したい」
林容疑者らが逮捕された日、東京国税局の藤田博一総務部長は緊急の記者会見でこう話したが、職員のモラルに頼らざるを得ない現状を印象付けた。
■「なんぼかお礼して」 逮捕者続々…“禁断の癒着”も
だが、そのモラルも風前のともしび。このところ国税職員の逮捕が相次いでいるのだ。
東京国税局雪谷税務署の徴収官、郡周二被告(35)は5月、源泉所得税還付金があるように装って国から約136万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕され、6月に起訴された。犯行当時は現職の職員だった。
また7月には、大阪国税局葛城税務署の上席国税調査官、菅謙二被告(48)が収賄容疑で逮捕、起訴されている。
この汚職も厚木税務署の事件と構図が似ている。
起訴状や関係者によると、菅被告は経営コンサルタント会社「ティグレ」八尾支店社員の春日亮一被告(35)=贈賄罪で起訴=から、奈良県内の自営業者の追徴課税額を減らすよう要請を受けて100万円の減額措置を取り、昨年12月に見返りとして現金15万円を受け取った。
菅被告は春日被告から減額を求められた際、こう迫ったという。
「なんぼかお礼してや」
その後、上司に「自営業者は高齢なので、本来の税額から100万円ぐらい引き下げましょう」と進言していた。菅被告は「数百万円の借金があった」と動機を供述している。
ティグレ(本社・大阪市)は、中小企業や自営業者などの会員から税務に関する相談を受け、記帳の代行業務などを行っている。同社のホームページによると、顧客は全国で43000事業所に上るという。
「一般論でいえば、こうした経営コンサルタント会社は顧客の“節税”を目指しており、国税当局にとっては心してかかるべき存在。そんな相手と癒着を深めるなんて、どこまでタガが緩んでいるのか…」
ある関係者はこう言って嘆いた。
不況の影、インフレ、社会保障費や税負担の増大…。ただでさえ「嫌われ者」の国税当局が、青息吐息で生活する庶民の信頼を回復するのは容易ではない。
(補足:7/3産経新聞)
相続税の延納者に便宜を図った見返りに現金を受け取ったとして、横浜地検は2日、加重収賄容疑で厚木税務署の上席国税徴収官、林英一容疑者(45)=同日付で懲戒免職=を、贈賄容疑で厚木市の不動産賃貸業、八田幸一容疑者(38)を逮捕した。いずれも容疑を大筋で認めている。
調べでは、林容疑者は昨年9月中旬~10月上旬、八田容疑者の相続税の未納分約5000万円について、完納したように装うため署内の端末を不正に操作。八田容疑者の所有する宅地に、国が相続税を徴収するために設定していた抵当権を抹消する手続きを行い、その見返りとして八田容疑者から現金計1000万円を受け取った疑い。
抵当権の抹消は、延納中の相続税の完納が確認されてから税務署長らが決裁して手続きに入る。林容疑者は何らかの方法で署長の公印を持ち出し、抹消手続きの書類に押印、法務局に届け出ていた。八田容疑者は12年から相続税を分割して延納中。17年7月に林容疑者が厚木税務署に着任し、八田容疑者の延納相談を担当していた。
東京国税局の藤田博一総務部長は会見し、「税務行政への信頼を裏切り深くおわびする。綱紀の厳正保持を徹底したい」と陳謝した。