昨日、後期高齢者医療制度の勉強会が京都であり、参加してきました。
講師は社会保険労務士の方。
今、世間で最もホットなテーマの一つでもありましたので、とても興味深いテーマでした。
一般的なセミナーや勉強会ですと、一通りの制度の説明だけで終わってしまいます。
ですが、このセミナーは違いました。
ファイナンシャルプランナー(FP)として、私たちはどう対応すべきか?と参加者に投げかけていました。
例えば、障害者の方についての対応はどうするのか?
【後期高齢者医療制度について】
加入しなければならない→75歳以上の方
加入することができる→65歳以上の方で一定の障害があると認定された方
※一定の障害がある方とは・・・
・身体障害者手帳1級、2級、3級および4級の一部の方
・精神障害者福祉手帳1級、2級の方
・国民年金の障害基礎年金1級、2級の方
・療育手帳A判定の方
などです。
つまり、障害をお持ちの65歳から74歳までの方は、今加入している医療保険制度と後期高齢者医療制度のどちらに加入するかを選択することができます。
<65歳から74歳までの障害者の方の医療制度>
後期高齢者医療制度に加入する | 後期高齢者医療制度に加入しない | |
保険料 |
・お一人お一人負担します
・会社の健康保険などの扶養に入っておられる方も保険料を負担します
|
・現在加入中の医療保険制度の保険料を負担します ・会社の健康保険などの扶養に入っておられる方は、保険料の負担はありません |
窓口負担 |
・1割負担(収入が多い方は3割負担)
※障害者医療を受給されていた方は、後期高齢者医療制度から助成される
「重度障害老人健康管理費支給制度」の受給をするときは、申請不要 |
・65歳以上69歳以下の方
3割負担(1割負担となる場合もあります) ・70歳以上74歳以下の方 1割負担(収入が多い方は3割負担)
※障害者医療を受給されていた方は引き続き受給することができるが、申請が必要
|
このように、どちらに加入するかで、保険料の負担や窓口での負担が異なります。
また、障害者医療を受給していた方は、助成を受けるには改めて申請をする必要があるのか?ないのか?も異なります。
【障害をお持ちの方にどちらが良いのか判断できるのか?】
65歳以上の方で一定の障害があると認定された方に、都道府県から「どちらの制度に加入しますか?」という書面が送られています。
パンフレットなど膨大な資料が送られています。
どちらの制度に加入するのか?の回答期限があったそうですが、厚生労働省からの通達により柔軟な対応に変わったともいわれています。
現実問題として・・・
少なからず、身体・知的・精神などに障害がある方ですので、どちらの制度が良いのかご自身で判断できるのか?ということです。
回答期限など緩和したところで、根本的な解決になっていません。
仮に、法定後見や任意後見などの制度を利用して「後見人」がいらっしゃれば、その後見人が判断をすることになると思います。
後見人は、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家がなるケースと、ご家族がなるケースが想定されます。
これらの後見人の方たちが、どちらの制度が良いのか?判断できるかどうかも疑問です。
勉強会の参加者の中に、現在実際に後見人となっている行政書士さんなどがおられ、現場の話をしてくださいました。
・後見人である私たち(専門家)でも、後期高齢者医療制度を理解するのは難しいのに、一般の方(ご家族)が理解できるのだろうか?
・障害者の方を支援できるのは、専門家である後見人やケアマネージャーなど現場に携わる専門家ではないだろうか・・・
とおっしゃっていました。
【ファイナンシャルプランナー(FP)として対応できることはあるのか?】
お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)も、こういった障害者の方への支援ができるものと思います。
皮肉なことに、社会情勢が混乱すればするほどこういった専門家が求められる時代になっていくのではないかと思うと複雑な心境です。