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【税金相談】寝たきりや認知症の方の税金優遇

  • 2008/03/26

確定申告の期間中に次のようなご相談を受けましたのでご紹介します。

 

 


【相談者】

認知症の祖母を持つ20代のお孫さん

 

 


【相談内容】

認知症の祖母がいます、母は介護などで大変な思いをしています。こんなとき、税金などの優遇はないのでしょうか?

祖母は市役所などから障害者手帳などの交付は受けていません。

 

 


【結論】

障害者手帳がなくても、所得税・住民税の障害者控除を受けることができます。
次の金額を所得の金額から差し引くことができます。

<控除額>

 区分 所得税 住民税
障害者控除   27万円  26万円
特別障害者控除  40万円  30万円
同居特別障害者である

配偶者控除又は扶養控除

 73万円~98万円  56万円~68万円

 

<安くなる所得税・住民税の金額>
障害者控除を受けられる方の所得金額により、数万円から数十万円くらい税金が安くなります。

 

 


【相談経緯】

お孫さんはよく勉強されている方で、障害者手帳を持っていれば所得税の障害者控除の制度が使えることをご存知でした。

認知症の祖母は障害者ではないけれど母がつきっきりで介護をしているのをみて「障害者と同じくらいの介護の負担があるのに障害者手帳がないというだけで所得税の障害者控除の制度が使えないのはおかしい」と感じておられました。
そこで、税金の優遇制度があるかどうかを税務署に聞いてみたそうです。
確定申告の忙しい時期だったこともあり、税務署から軽くあしらわれたそうです。
税務署職員の回答は「障害者手帳がないとダメです」とのことでした。

それは一般の税理士もそう思っていると思います。

恥ずかしながら私長嶋もそうでした。

念のために調べてみたところ、障害者手帳がなくても所得税・住民税の障害者控除を受けられることがわかりました。

私長嶋は、お孫さんから勉強させていただきました。

 

 

【障害者手帳がなくても障害者控除を受けることができる方は?】

次の3つの要件をすべて満たす方です。
・満65歳以上の方(確定申告や年末調整する年の12月31日現在)
・寝たきりまたは認知症の方で、市区町村が障害者に準ずると認定された方
・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付及び知的障害の認定を受けていない方

 

 

【障害者控除を受けるには?】

上記の障害者控除を受けることができる方に「障害者控除対象者認定書」が市区町村から発行されます。
この障害者控除対象者認定書を、年末調整をされる方は勤務先に、確定申告をされる方は税務署に提出します。

 

 

【障害者控除対象者認定書の発行を申請できるのは?】

所得税または住民税の障害者控除を受けようとする本人または家族です。

 

 

【申請に必要なものは?】

障害者に準ずると認定を受けたい方の印鑑(要介護認定を受けている方は,介護保険被保険者証)を準備して、市区町村に申請します。

 

 

【申請の窓口は?】

市区町村によって異なりますが、介護課・福祉課など福祉関係を連想させる課が担当しています。
足を運ぶ前に、何を準備してどの窓口に行けばよいか電話で確認することをお勧めします。

 

 

【市区町村の窓口でもあまり知られていない制度です】

お孫さんは早速、市役所に連絡をしたそうです。
電話に出た方はこの制度のことを知らなかったようで「調べます」とのことだったそうです。
そして、折り返しの電話があり、後日無事に「障害者控除対象者認定書」を発行していただけたそうです。

もし電話確認された際「そんな制度はありません」と市区町村の担当窓口から言われても「調べてください」とハッキリとお伝えください。

 

 

【申請にあたっての注意点】

(1)この「障害者控除対象者認定書」は、認定を受けた年の確定申告や年末調整だけに有効です。
つまり、認定書の発行は毎年申請しないといけません。

 

(2)この「障害者控除対象者認定書」は、障害者控除という所得税・住民税の特典をを受けるためだけの書類です。
市区町村が行う障害者の方のためのサービスを受けることはできません。

この注意点も市区町村によって異なる場合がありますので、市区町村の担当窓口で確認されることをお勧めします。

 

 

【ぜひ周りの方に教えてあげてください】

恥ずかしながら私長嶋も、この制度を知りませんでした。
正直にそのことを相談者のお孫さんにお話したところ「同じように困っている方がいらっしゃると思うので、ぜひブログの記事にして他の方にも教えてあげてください」と温かいコメントをいただきました。

みなさんが大事にされているご家族・ご友人・ご親戚などに、同じような境遇の方がいらっしゃると思います。
みなさんの大事な方を守るという意味でぜひ教えてあげてください。

 

 

 【確定申告の時期を過ぎてしまいましたが・・・】

確定申告のやり直しは5年間さかのぼってすることができます。
5年間ではありますが、税務署は対応してくれます。

 

ただ、市区町村が認定書を発行してくれるかどうかです。
認定書がないと障害者控除の制度を利用することができませんので、市区町村の担当窓口とよく相談いただきたいと思います。

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