先日、相続税の申告が必要なお客様から、土地の遺産相続についてご相談がありました。
詳しくお話を伺うと、相続財産のほとんどがご自宅の土地であり、遺産相続の手続きをどのように進めていけば良いのかわからないとのことでした。
【税理士は相続税のことしか教えてくれないと思っていた】
お客様の当初のご相談は、相続税の申告が必要だったので相続税についてわからないことがあるとのことでした。
お客様から詳しくお話を伺う中で、相続税のことよりも遺産相続の方が大きな問題であると、税理士長嶋は理解しました。
具体的には、お客様は次のような遺産相続の問題点を抱えておられました。
・相続財産のほとんどがご自宅の土地であるため、現在生活されているご自宅の土地は分けるに分けられない
・もし、平等に遺産分割するのであれば、共有や分筆が考えられるが、本当に共有や分筆という選択が良いのか
・もし、分筆した場合、他の相続人がその土地を売却するようなことになれば、相続があることでご自宅の敷地がどんどん小さくなっていくことが家族にとって本当に良いことなのか
何よりも最も大きな問題点は、「ご家族の中でこのたびの遺産相続をキッカケとして、家族の財産をどのようにしていきたいのか」が明確ではなかったことです。
遺産分割協議が成立してしまいますと、その後取り消しをすることが非常に難しくなります。
そのため、このたびの遺産相続で決まる相続財産は、将来的に子供さんやお孫さんの世代が守っていくことになります。
つまり、遺産分割とは、今後、家族が守っていく財産が決まってしまう場面となりますので、「遺産相続」はとても重要なポイントになります。
以上のようなお話をさせていただくと、お客様はビックリされておられました。
なぜなら、税理士に相談しているのだから、相続税のことしか教えてくれないと思っていたからです。
お客様が最も心配していた「遺産相続」について、お客様が何も言わずとも、税理士長嶋の口から先に問題点としてお話が出たことに感激されておられました。
【相続税についての問題点】
遺産相続の問題点だけではなく、相続税についてもいくつか問題点がありました。
・相続財産のほとんどがご自宅の土地であるため、相続税をどのように払うのか
・もし、相続税を払えない場合、相続財産の売却、そして延納や物納といった方法をとることが一般的だが、本当にそれで良いのか
・もし、物納にしてしまうとご自宅の敷地が小さくなるため、売却するのと同じ効果になってしまうが本当にそれで良いのか
・相続税は、相続する財産により税額が異なるため、誰がどの財産を相続すれば有利なのか
確かに、相続税が安くなるほうが良いが、お客様にとって相続税が最も重要な問題ではないことは明らかでした。
【遺産相続とは、子供さんやお孫さんの世代も含めて家族の財産を守っていくこと】
遺産相続は、家族の問題です。
子供さんやお孫さんの世代も含めて家族の財産をどのように守っていくのか、価値観の共有が最も大切だと思います。
そのため、税理士長嶋は、お客様に家族会議を開くことをお勧めしました。
家族で価値観を共有し、それを踏まえての遺産相続や相続税の問題であると考えます。